このステップで何をするか
①〜③で見えてきた「問いに対する答え(主張)」と、その「根拠」を、伝える相手と目的に合わせた形でまとめ、発表し、聞き手と対話します。最終的に手元に残すのは、発表資料(スライド・ポスター・レポートなど)と、発表本番の記録、相互評価のメモです。
このステップが大事な理由
ここまでで、みなさんは問いを立て、情報を集め、整理・分析して主張の骨子を作ってきました。けれど、その内容は今、みなさんの頭の中とノートの中にしかありません。誰かに伝わって初めて、探究は社会とつながります。
また、人に伝えようとすると「ここは説明が飛んでいた」「根拠が弱い」など、自分では気づけなかった穴が見えてきます。発表後に聞き手と意見交換すると、自分にはなかった見方が返ってきて、考えがさらに深まります。「まとめ・表現」は伝えるための工程であると同時に、自分の探究を確かめ直し、深める工程でもあります。
具体的な進め方
「まとめ・表現」は、いきなり資料を作り始めると、独りよがりな発表になりがちです。次の順で進めましょう。
使うとよい方法・ツール
発表・表現の形にはいくつかの種類があり、それぞれ向き不向きがあります。「使い慣れているから」ではなく、「相手と目的に合うか」で選ぶのがコツです。短い時間で多くの人に概要を見せたいのか、じっくり読み込んでほしいのか、現場の様子そのものを見せたいのか――伝えたい体験の種類によって、選ぶ形は変わります。次の表を参考に、自分たちの発表に合うものを選んでみましょう。
形は1つに絞らなくても構いません。「ポスターで概要を見せて、興味を持った人にレポートを渡す」のように組み合わせもできます。どの形を選ぶ場合でも、共通して気をつけたいのが引用・出典の明示です。発表の中で本・統計・インタビューの内容を使う時は、出典(本のタイトル/統計名/インタビューした相手と日付など)を必ず添えます。これは盗用(他人の成果を自分のものとして使ってしまうこと)を避けるためでもあり、聞き手が「この主張はどれくらい信頼できるか」を判断するための大事な情報でもあります。②で記録した出典を、そのまま発表資料に持ち込めるようにしておきましょう。
つまずきやすいポイント
身近な例で見てみる
「勝てるチームは、すべて練習量が長いのか?」という問いを探究したグループが、文化祭でポスター発表をすることにしました。相手は「これから部活を選ぶ後輩」、目的は「練習時間だけで部活を選ばないでほしいと伝える」。1枚のポスターに、問い・仮説・調査方法(インタビューとアンケート)・結論(練習量だけでは説明できない)・根拠を載せます。発表後、後輩から「では何を見ればよいのか」と質問が出ました。これは事前には想定していなかった問いで、グループはこれを次の探究の入口としてメモに残しました。
次のステップへ
ここまでで、①課題の設定→②情報の収集→③整理・分析→④まとめ・表現の4ステップを一通り進めてきました。ただし、探究はここで終わりではありません。文科省が示す4ステップは、発表で出た新しい疑問や振り返りで気づいた「もっと知りたいこと」が、次の「①課題の設定」につながっていく螺旋(らせん)として描かれています。今回残った疑問を一つ書き出してみてください。それが次のサイクルの問いの種になります。